民事再生の流れ

 

 

通常民事再生の流れ(相談~開始決定まで)

① 相談

面談相談にて民事再生手続による再建の可能性について、一定の判断を行います。具体的には、弁済を棚上げした場合に運転資金が確保できるか、将来的な弁済資金を捻出できる見込みがあるか、メインバンクとの関係はどうか、公租公課の滞納状況はどうか、弁護士費用や裁判所予納金が準備できるか等を、過去6か月から将来6か月までの資金繰表を作成して判断します。

② 受任・委任契約

再建可能性があると判断した場合、委任契約を締結します。この段階で弁護士着手金をお支払いいただくことになります(→着手金等は「弁護士費用」へ)。また、裁判所へ納付する予納金についても、できるだけ同時にお預かりします (→費用の詳細は「通常民事再生の手続き費用について」へ

③ 申立準備

裁判所へ申立を行うための準備を進めます。会社の民事再生の場合、手形不渡等の期日が迫っており、かなりの短時間で申立を行わなければならないケースが多く、依頼会社代表者や担当者には、資金繰表、決算書、債権者リスト、事業計画書等を急ぎご準備いただくことになります。当事務所では、それらをまとめて受任から約1週間で申立書と資料を作成すると共に、申立前に裁判所と日程等の調整を行います。

(以下、カッコ内は大まかなスケジュールです)

④ 申立・予納金納付(受任から数日~1週間程度)

「再生手続開始申立書」を裁判所に提出します。同時に「保全命令申立書」を提出し、弁済禁止の保全処分の発令を求めます。具体的には、公租公課、賃金、水道光熱費、事業に必要なリース料、10万円以下の少額債権等を除いた「債務の弁済はしてはならない」との処分を求めることになります。

⑤ 審尋(申立から数日後)

裁判所にて裁判官との面接が行われますので、依頼会社代表者には当職らとともに裁判所に出頭いただきます。裁判所が選任する監督委員(予定)の同席も予定されます。

⑥ 保全命令・監督命令発令(審尋当日~翌日)

裁判所から「保全命令」、「監督命令」が発令されます。保全命令により、債務の弁済(上記を除く)が禁止されることになりますし、監督命令によって不動産処分等の重要行為には監督委員の同意が必要となります。監督命令は会社登記簿にも登記されます。

(この保全命令により、倒産廃業の危機をひとまず脱することになります。)

⑦ 債権者への通知発送(保全発令後直ちに)

債権者へ申立の事実を知らせるとともに、債権者説明会開催の案内を行います。

⑧ 債権者説明会の開催(債権者への通知から1週間後)

適宜の会場を借りて、申立の経緯、今後の協力要請、弁済の見込みについて代理人弁護士から説明を行い、再建の協力を要請します。通常、裁判所が選任した監督委員も立ち会います。なお、全体の債権者説明会とは別にメインバンクには保全命令後、直ちに戸別訪問をし、経緯を説明するのが通例です。

⑨ 監督委員への報告等

裁判所が再生手続開始を判断するにあたり、監督委員が意見書を提出することになりますので、監督委員やその補助者である公認会計士からの質問に対応したり、必要な報告を行ったりします。

⑩ 開始決定(申立から1か月程度)

監督委員の意見書提出を受け、裁判所が再生手続開始決定の判断を行います。開始決定により、再生手続が本格的にスタートします。

 

以上が、相談から開始決定までの大まかな流れとなります。

開始決定後は、財産価格評定書、再生債権認否書、再生計画案等を裁判所が定めたスケジュールに従って提出することになります。債権者の決議を経て、最終的に裁判所から再生計画が認可がされれば、実際に再生計画に基づき債権者に弁済を行っていくこととなります(再生計画案の例:債務の80%~90%免除を受け、残り10%~20%を10年かけて分割弁済する等)。

申立から認可決定までは通常半年ほどがかかります。

 

⑪ 申立後の事業活動について

民事再生法は破産と異なり、事業を継続するための制度です。したがって、申立後は速やかに取引先に事情を説明して事業継続のためのお願いをすることになります。以後の取引は、現金決済で行うことになるので、申立後2か月程度の運転資金(キャッシュフロー)が必要になります。

⑫ 従業員の整理解雇・不用財産の処分等

民事再生は再生計画において債権の一部免除を求めることになるので、自社の経営全体を見直し、人員を削減したり、事業に必須ではない財産を処分するなど、再生計画作定のため、再生に向けた姿勢を内外に示さなければなりません。

⑬ それ以降の流れ

開始決定後の流れは→「民事再生手続標準スケジュール(H131・9改訂)」参照※東京地方裁判所民事第20部より

⑭ 以上の手続に受任弁護士は最後までお付き合いをすることになります。

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